サブシジョン(Subcision)は、ニキビ跡の凹みやクレーターを根本から改善する治療法。
皮膚の下にある瘢痕組織(癒着)を針で剥がし、コラーゲンの再生を促すことで、スキンケアでは難しい凹みを内側からふっくらと改善します。
本記事では、サブシジョンの効果の仕組みや、どんなニキビ跡に向いているのか、さらに他の治療と組み合わせてより高い効果を得る方法について詳しくお伝えします。
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サブシジョンで期待できる効果の核心

サブシジョン(Subcision)は、皮膚の下(真皮~皮下組織)の瘢痕組織を針で切ることによって皮膚が引き込まれた状態、癒着を改善させる治療法です。
局所麻酔を行った後に、サブシジョン用の針で瘢痕組織を剥がし、キズが治る力を利用して凹みをなだらかに改善します。
線維を切断することで、空いたスペースを埋めるために自然治癒力が働き、新たなコラーゲンが生成されます。
サブシジョンによって生まれた新しいコラーゲン組織が肌を内側から持ち上げることで、クレーターやシワが改善されます。このコラーゲン生成により、肌全体のハリや弾力もアップします。
単に癒着を剥がしただけでは再度癒着するため、剥離したスペースにヒアルロン酸やコラーゲンブースター(ジュベルックなど)を注入することで再癒着を防ぎながら、さらにコラーゲン生成を促すことが可能です。
ヒアルロン酸自体は種類により約半年から2年ほどで体に吸収されてなくなりますが、その間にご自身の組織がヒアルロン酸を足場にしてできるといわれているため、その効果が完全に消失するということはありません。
なお、セレクトクリニックではニキビ跡の凹みが強い場合にヒアルロン酸併用の方法を推奨しています。
サブシジョンは、1995年にDermatologic Surgeryという有名な医学雑誌に報告されて以来、世界中で行われている治療法です。
以下は、セレクトクリニックでサブシジョンを受けられた方のビフォーアフター画像です。
サブシジョンの効果が期待できるニキビ跡の種類
クレーターは種類によって深さや形状の違いがありますが、いずれもニキビの炎症によってできた瘢痕組織です。
瘢痕組織とは傷が治癒する過程で生じる組織のことを指します。
最も高い効果が期待できるローリング型・ボックスカー型
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ローリング型とは、直径5mm以上のなだらかでお皿のようにくぼんだニキビ跡のことです。表皮から皮下組織までが癒着してしまっているので、顔の動き、表情によってニキビの跡が深く見えることもあります。
ローリング型のニキビ跡が接近してできると、波打つようにみえることからローリング型と呼ばれています。
ボックスカー型は円形や楕円形で垂直に凹んだニキビ跡です。縁取りがハッキリしていることが特徴です。
ボックスカーとは貨物列車の事で、長方形のニキビ跡がそのように見えることからボックスカー型と呼ばれています。なかには、縁取りがはっきりしていて垂直に凹んでいる様子からボックス型と呼ぶところもあります。
他の治療との併用で効果を発揮するアイスピック型

アイスピック型とは、ニキビ跡は肌の表面から見ると小さく見えますが深さが非常に深いことからアイスピックを刺したように見え、このように呼ばれています。通常ニキビ跡の表面が直径2mm以下の場合、アイスピック型と識別されます。
アイスピック型のニキビ跡は通常のニキビ跡と異なりニキビ跡が深く、皮膚の深い部分にある真皮が炎症によってダメージを受け破壊され、そこで大量のコラーゲンが産生されて瘢痕組織に置き換わっていて、組織学的には真皮は残っていません。
そのため、治療が難しいニキビ跡でもあるといえるでしょう。
サブシジョンの効果が出るまでの回数・期間
1回目|治療直後~1ヶ月
サブシジョンを1回行った時点では、深い凹みの改善が少しずつ見られる程度で、腫れや内出血が落ち着くまでに数日~1週間ほどかかるため、1回の施術だけでなく、肌の回復を見ながら1~2ヶ月間隔で3〜5回程度繰り返すことが推奨されます。
これは、サブシジョンで切り離した硬い線維が自然に治癒・再生するのを待ちながら、段階的に凹みを平らにしていくためです。
ただし、ダウンタイムが落ち着いた後に一時的に元に戻ったように感じる場合があります。
2~3回目|2~5ヶ月目
2回目以降の施術ではコラーゲン生成が本格化し、凹みが内側から持ち上がってくる効果を明確に実感し始め、1回目で得られた変化に加えてさらに凹みが平らになり、肌の質感も整ってきます。
施術間隔は1~2ヶ月程度を目安に行い、回復を確認しながら段階的に改善していくことで、より自然で安定した仕上がりが期待できます。
3~5回目|5~10ヶ月目
3回目以降の施術ではコラーゲン生成がさらに進み、凹みが内側からしっかり持ち上がることで、安定した目覚ましい改善効果を実感できる段階になります。
特に重度のクレーターの場合はこの回数が最終的な目標回数となることが多く、施術間隔を守りながら段階的に改善することで、より自然で長持ちする仕上がりが期待できます。
サブシジョンの効果を最大化させるための組み合わせ治療
①トライフィルプロ
トライフィルプロは、微細な針を使って皮膚に微小な穴を開けて炭酸ガスを注入する施術です。
トライフィルプロは炭酸ガスと一緒に薬剤の注入も可能である点が大きな特徴で、ローリング型、ボックスカー型のクレーターに特に効果的な施術です。
一方でサブシジョンは、医師が針を使って手技で深い瘢痕組織を切断する施術です。
深い重度なクレーターにはサブシジョン。中度のクレーターにはトライフィルプロと、肌状態によって使い分けて治療を行うことがおすすめです。
②キュアジェット
キュアジェット(CUREjet)とは、先端ノズルから出る秒速500mのジェットが皮膚に当たり、薬液が皮下に浸透するとともに皮膚表面付近にある線維をマイクロサブシジョンできる治療器です。
針を使わないマイクロサブシジョンと呼ばれていますが、そもそも通常のサブシジョンとはターゲット部位が異なります。
アイスピック型には第一選択の治療ともいえますが、ローリング型、ボックスカー型のニキビ跡にもしっかり効果があることが特徴的です。
③TCAピーリング
高濃度のピーリング剤であるトリクロロ酢酸(TCA)を肌に塗布し、ニキビ跡を改善する治療です。
TCAの力で皮膚にダメージを与えて、新しい皮膚を作り直し皮膚のへこみをピンポイントに浅くしていきます。
特にアイスピック型の深いニキビ跡や浅く平坦に凹んだクレーター状のニキビ跡、水疱瘡の凹みに適しています。
アイスピック型のニキビ跡は、なかなか治療が難しいと言われているため、他治療とTCAピーリングを併用することで、より満足度の高いニキビ跡治療が可能です。
④ポテンツァ
ポテンツァはRF(高周波)とマイクロニードルを組み合わせた治療法で、真皮層にアプローチする施術です。サブシジョンと併用することで深い層だけでなく、浅い層まで改善を促します。
ポテンツァは、肌のコラーゲン、エラスチンの生成を促進させるため、クレーター以外にも毛穴や小じわなどの改善に効果が高い治療です。
従来のマイクロニードル治療と比較し、ダウンタイムも短く効果がみられることから、人気の高い治療です。
⑤ダーマペン
ダーマペンは微細な針で肌に小さな穴を開け、肌の再生を促す治療法です。
コラーゲンやエラスチンを生成するため、肌の質感やハリが改善されるとともに、細かいしわや毛穴の開きにも効果があります。
深いクレーターの治療向きではないため、サブシジョンや他治療との併用が推奨されています。
⑥ピーリング
ピーリングはお肌表面にある角質を除去することで、表面の汚れやごわつき、くすみが改善し、より肌を明るく、整えることが可能です。
肌のターンオーバーを促すことで、ニキビ跡の色素沈着の改善にも効果的です。
ピーリングにもたくさんの種類があるため、肌状態にあった薬剤や施術を医師と相談しながら選びましょう。
⑦ピコトーニング
ピコレーザートーニングはメラニンに反応するレーザーのため、ニキビ跡の色素沈着、肌のくすみや色むら、薄いシミの改善に効果的です。
ダウンタイムもない治療のため、日常的に続けやすい治療ともいえます。
色味が改善するだけでも、肌の印象は大きく変わります。
⑧アドバテックスレーザー
アドバテックスレーザーは2つの波長を用いた最新の美肌レーザーで、ニキビ跡の赤みを改善したい場合にとても効果的な治療です。
589nmは赤み・アクネ菌殺菌・くすみ・肝斑に効果があり、1319nmは皮脂抑制・毛穴の引き締め・ハリ・ツヤに効果的な治療です。
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⑨ケアシス
ケアシスはクライオエレクトロポレーションという技術を用いて、通常のスキンケアでは届かない肌の”真皮深層”まで薬剤の導入が可能です。
従来の導入機器と比較し、大きな粒子の導入も可能となり、約20倍の効果といわれています。肌悩みに合わせた薬剤を使用することで、治療の効果を高めることが出来ます。
またサブシジョンの後にケアシスをすることで-20℃の冷却でクールダウン、鎮静が可能なため、ダウンタイムの軽減としても効果的です。
【FAQ】サブシジョンの効果に関するよくある質問
サブシジョンの効果は半永久的ですか?
サブシジョンでは肌の下の硬い線維を切り離し、組織の癒着を防ぐ薬剤を注入するため、基本的に半永久的に効果が持続します。
ただし、加齢や生活習慣による肌の変化によって凹みが再び目立つ場合もあるため、定期的な肌ケアや必要に応じた追加施術が推奨されます。
サブシジョンは1回でも効果がありますか?
サブシジョンは1回でも効果を実感できる方もいますが、深い凹みやクレーターの改善には複数回の施術が必要です。
初回施術で肌の下の硬い線維がほぐれることで少し凹みが目立たなくなり、施術を重ねることで肌の質感が整い、より自然で安定した仕上がりが期待できます。一般的には 3~5回程度 の施術で目に見える効果が得られます。
少ない回数で効果を得たい場合には、他の美容施術との併用もおすすめです。
「サブシジョン 効果なし」と検索候補に出てくるのですが。
サブシジョンはニキビ跡の種類や肌の状態によって効果の出方が異なる施術です。
ローリング型やボックスカー型の凹みには効果が高い一方で、アイスピック型の凹みには十分な改善が得られないことがあります。そのため、「効果がない」と感じる方がいらっしゃる場合があります。
またその他の理由としては、施術が不十分であったり、施術後のアフターケアが適切でなかったりすることが原因として挙げられます。
個人の肌の状態やニキビ跡のタイプによって、適応な治療が異なる場合があるため、その場合は他の治療法と併用することで、より効果が期待出来ます。
セレクトクリニックではカウンセリング時にニキビ跡のタイプを的確に診断し、サブシジョンのみならず様々な治療をご提案させていただきます。
まとめ
サブシジョンは皮膚に専用の針を挿入し、皮膚の下で“クレーターを引っ張っている瘢痕組織を物理的に断ち切ります。そうする事で凹みを肌の下から持ち上げ、なめらかでハリのある肌に整えます。
また、肌の硬い線維をほぐす際にコラーゲン生成が促され、施術を重ねるごとに内側からふっくらとした弾力が蘇ります。1回でも変化を感じられますが、深い凹みには最低でも3~5回ほどの施術が効果的です。
ローリング型やボックスカー型の凹みに特に有効で、肌本来の状態を取り戻します。痛みや腫れも最小限に抑えられ、安心して受けられるため、長年悩んだ肌の凹みを改善し納得のいく結果を目指すことが可能です。




